結婚ビザの審査は以前よりも厳しくなったと言われています。
なぜ厳しいのでしょうか。
①外国人の就労は制限が多い
入管法第7条第1項は入国審査官の審査について定めていますが、適合を審査すべき条件が第1号から4号まで挙げられており、そのうちの第2号にはだいたい次のような内容が書かれています。
行おうとする活動が虚偽のものでないこと、および入管法に定める就労活動又は身分、地位を有する者としての活動に該当し、かつ就労活動については上陸許可基準(法務省令)に適合すること
まず申請内容に虚偽(うそ)があってはいけないのは当たり前ですが、
「入管法に定める就労活動、身分、地位」というのは入管法別表第一と第二に書かれている27種類の在留資格のことで、一般に結婚ビザと呼ばれる「日本人の配偶者等」という在留資格もその1つです。
そして「上陸許可基準」というのは就労ビザに関してだけ定められていて、「我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準」に適合するか厳しくチェックされます。
では「我が国の産業及び国民生活に与える影響」とは何でしょうか。一番分かりやすい例としては、外国人が多く雇用されて日本人が失業する状態が考えられるでしょう。
そのために「上陸許可基準」を定めて外国人が就業できる業種、職種の範囲を決め、しかも一定以上の学歴や職歴がなければ在留を許可しないという形で外国人の就労を制限しているのです。わかりやすく言うと例えば「技術・人文知識・国際業務」という在留資格は、大卒か専門学校卒(専門士)、または10年以上の経験がないとビザが下りないので、普通の人にはハードルが高いといえるでしょう。
②結婚ビザは就労制限がない
日本で就労したい人にとって、就労ビザのハードルが高い一方で「日本人の配偶者等」といった結婚ビザには就労制限がありません。学歴不問、業種職種を制限する「上陸許可基準」の適用がなく、つまりどんな職業でもOKです。
①と②を考えると、学歴がない人や、やりたい仕事の業種が就労ビザの対象になっていないという人は、「じゃぁ結婚ビザで滞在して仕事をしよう」と考えてしまいがちです。
憲法24条第1項の条文を出すまでもありませんが、婚姻は両性の合意にのみ基づいて成立しますから、目的がどうであれ、重婚などの婚姻禁止要件にあたらない限り、双方が合意すれば結婚は成立します。
しかしだからと言って本来の結婚の目的を逸脱し、就労を目的とした形だけの結婚は偽物の結婚だと言わざるを得ませんし、ましてそこに金銭のやり取りが行われてビジネス化されているとなれば、これはもはや法律を逆手にとった脱法行為と言えるでしょう。
そこでそういった偽物や脱法的な結婚によってビザを取得する人が出ないように、結婚ビザの審査は厳しくなっているのです。
お互いに愛し合って結婚したのに、「ビザが下りなかったから一緒に住めない!」なんて事がないように、申請時の資料収集については私たちもしっかりとアドバイスしておりますし、書類作成の際も最大限に気を配っております。
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